カテゴリー「W杯コラム」の73件の記事

2006年7月18日 (火曜日)

今大会で目立ったセントラルMF

ドイツ代表:フリングス(ブレーメン)

説明不要の働きをしました。実質上中盤の底を1人で支えていたけど、ボールホルダーとの間合いの取り方。そしてカウンターを喰らったときのパスレシーバーに対するチェックが非常に素晴らしい。また、グループリーグ第1戦では素晴らしいミドルシュートも披露してくれた。ドイツが優勝していたら、間違いなく彼が大会MVPだっただろう。

メキシコ代表:パルド

あまり試合中は目立たない選手だったが、チャンスと見るや短長あわせた正確なパスでいくつもの決定機を演出していた。運動量も豊富で、サイズこそないものの、ここぞというところでは勇気あるタックルをしていた。また、流れを変えるセットプレーも見ものだった。

イラン代表:ティモリアン

意外な発見が、しかもアジアの選手で見れるとは思わなかった。ボールコントロールがとにかく正確で、メキシコの強烈なプレッシングでも冷静にキープして両サイドにボールを散らしていたプレーが印象的だった。運動量も豊富で、カウンターを喰らったときにも50mの距離を走ることもいとわないプレーヤー。今後、日本はこの選手に要注意かもしれない。

アルゼンチン代表:マスチェラーノ(コリンチャンス)

フリングス同様守備時の読みの鋭さが光るプレーヤー。フリングスと決定的に違うのは、自らが攻撃の起点になるパスを出せること。リケルメが厳しいマークにあうことは予想済。そこで重要な役割をしていたのがマスチェラーノ。チェンジサイドのミドルパスで巧みにマキシ・ロドリゲスなりソリンなり、両サイドに散らすパスは絶妙。

ポルトガル代表:マニシェ(チェルシー)

まさか、かれがここまで活躍するとは思ってなかった。所属クラブの「会社」ではあまりで番はなく、コンディション調整が難しいだろうと思ったが、そんなことを理由にするほどヤワではなかった。意外と器用なゴールも見せてくれた。守備面ではコスティーニャやペティに任せる時間帯が多かったものの、肩代わりをしてもらうのではなく、バランスをとってもらうだけでシッカリと守備面でも貢献していた。ポルトガルの守備は両CBのリカルド・カルバーリョとフェルナンド・メイラの強さと巧みさばかりが目立っていたが、その分セントラルMFが素晴らしい働きをしていたことも付け加えなければらない。

フランス代表:ビエラ(ユベントス)

攻撃あり、守備では強し。まったく抜け目のないセントラルMFだった。DFラインに下がっては、まるでセンターバックのような強さを見せつけ、相手ペナルティエリア内に入ればまるでセンターフォワードのような切り返しで得点を奪った。攻守両面において、ここまで高いレベルでプレーできる選手は彼くらいだろう。

フランス代表:マケレレ(チェルシー)

ジダンの代わりに走った選手。とにかくしつこい守備をする、といってしまえばそれまでだが、その守備によって相手の攻撃をどれだけストップさせたことか。特に決勝トーナメントのスペイン戦のデキがベストだっただろう。あの日は何かに取りつかれているかのような働きぶりだった。ビエラが攻撃参加できたのも、守備ラインに入って守備固めをすることが出来たのも、ジダンがある程度守備をサボることができたのも、全てマケレレが中盤に君臨していたから、といっても過言ではないだろう。フランスのセンターラインは、世界で屈指だったように思う。

ピルロ(ACミラン)

言うまでもなく、イタリア優勝の立役者の1人。テクニカルなコントロールよりも、基本に忠実で確実な選択をする。しかし、センターサークル付近でボールを持つと、30%の確率で通るパスコースと、70%の確率で通るパスコースがあったとしたら、30%の方を通した方がチャンスになると思えば、躊躇なくそこを通してくる。しかも、それが正確極まりないのだから言うことなしだ。守備面でも泥臭いプレーを厭わない、必要不可欠な選手だった。

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2006年7月11日 (火曜日)

4年後につながる勝利   ドイツ3-1ポルトガル

前半は攻め合う両チーム。パウレタが神出鬼没な動きでドイツゴール前に顔を出せば、負けじとポドルスキーがポルトガルゴールに襲い掛かる。

ポルトガルはディフェンスライン、ドイツはフリングスを中心とした中盤のチェックに絶対の自信を持っており、最後の最後ではシュートコースを消していた。

ところが、試合が動いたのは後半、個人の力によるスーパーゴールだった。

53分、左サイドでボールを受けたシュバインシュタイガーは自分のリズムでドリブルを開始すると、1人、2人とかわしていき中へ切り込み、ドライブのかかったシュートを放つ。ポルトガルGKリカルドは、手元で急激に加速したボールを弾くことが出来ず、ネットに突きささった。

先取点を奪ったドイツは完全に主導権を握ると、観衆の後押しを受けて2点目を奪いにいく。すると、ゴール前右サイドでFKを獲得すると、シュバインシュタイガーがシュートとも、パスとも取れる強烈な弾道のキックをゴール前に。誰かが触ればゴール、というボール。幸か不幸か、その誰かがポルトガルのペティだった。オウンゴールによって追加点。

もうあとがないポルトガルは攻めるしかなく、両センターハーフも積極的に押し上げる。デコもプレーエリアは中央だったが、前線によく顔を出し、中盤ではフリングスにマークされながらも、随所に高いテクニックを見せつけて両サイドを効果的に操る。ドイツは、それを凌ぎ何とかカウンターにもっていきたい展開。ポルトガルの猛攻が実るか、ドイツのカウンターが冴えるか。次の1点が勝負だった。

そして、ドイツは機を見てポルトガルの攻撃を食い止めると、左サイドへ。そこには2得点をたたき出したシュバインシュタイガー。1点目と同じような位置からドリブルを開始すると、再び中央へ切り返し、シュートを放つ。今度はドライブシュートではなく、アウトサイドにかけ、狙い済ました。これがゴール右隅へ吸い込まれた。決定的な3点目がドイツに入った。

後半残り15分の時点でポルトガルはフィーゴを投入。すると、後半終了間際、そのフィーゴからの絶妙クロスをヌーノ・ゴメスがダイビングヘッドを叩き込んで1点を返す。しかし、いかんせん反撃が遅すぎた。試合はこのまま3-1でドイツの勝利。最後を締めくくった。

ドイツは、グループリーグの第1戦でとんでもない愚かな守備ラインを露呈してしまった。この初戦で勝利を収めたものの、不安定な守備ラインで今後を戦えるのだろうか、という思いが強かった。

しかし第2戦、ポーランド戦からは見違えるような戦い、というよりは見違えるような守備を見せた。特にフリングスが獅子奮迅の活躍でことごとく相手の攻撃を食い止めた。懸念だったディフェンスラインも吹っ切れたような守備を見せる。

結局、ドイツの特徴は第1戦で見せた4点を取るような爆発的な得点力ではなく、安定した守備からの攻撃になっていた。そのペースが乱れたのは1点リードされたアルゼンチン戦、そして決勝進出をかけて戦ったイタリア戦のみだろう。あとはペナルティ・エリア内に入る前で攻撃をストップさせていた。いざピンチが訪れても守備ラインが冷静に対応。GKには経験豊富なレーマンという守護神がいたのも心強かっただろう。

ドイツは、4年前には準優勝したものの、その4年後に明るい未来があると信じられるような内容ではなかった。ところが、今回は前回大会よりも1歩後退の3位とはいえ、4年後につながる勝利、W杯だった。

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2006年7月 9日 (日曜日)

まるでイタリア   フランス1-0ポルトガル

前半開始から、フランスがアンリの飛び出しからチャンスを作ればポルトガルもマニシェがミドルシュートを狙う一進一退の攻防。しかし、前半も中盤も過ぎると両チームがお互いの良さを消そうとして、こう着状態が続く。つまり、先取点を奪っては主導権を握るサッカーを展開したのではなく、主導権を握られないためのサッカーをしていた。

ところが前半30分、アーセナルのアンリがゴール前でボールを受けると、反転。この切り替えしについていけなかったチェルシーのリカルド・カルバーリョが足を出してしまった。PK獲得。これをジダンが左隅を丁寧に狙った。

主導権を握られないサッカーを展開していた中での思いがけないゴールで主導権を握ったフランス。この後はギャラス、テュラムの両CBを中心に同点ゴールを奪いたいポルトガルの攻撃をことごとく寸断。

後半に入り、シモンを投入。ただ、交代したのはセンターフォワードのパウレタ。ここにポルトガルの苦しい事情が浮き彫りになってしまった。

後半終了前には苦し紛れに未完のフォワード、ポスティガを投入するも、この苦し紛れの交代劇でフランスの鉄壁の守備陣を打ち崩せるはずがなかった。

フランスは、とにかく2点目を取ることよりも1点を守ることに徹した。まるでイタリアのような非情さで。かつて謳われたような壮絶な点の取り合いを演じるシャンパンサッカーとは真逆のサッカーだ。華麗な攻撃サッカーを美学としているフランス国民にとっては苦い試合展開になっただろう。

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2006年7月 6日 (木曜日)

死闘激闘劇的…  イタリア2-0ドイツ

試合開始直後からハイテンションな立ち上がりで目が覚める。イタリアの中盤はトッティを除けばペロッタ、カモラネージ、ピルロ、ガットゥーゾを配置して「動ける」選手を起用してきた。また、両サイドバックもザンブロッタとオーストラリア戦の劇的なPKを呼び込むドリブル突破を仕掛けたグロッソが勤める。

対するドイツはフリングスが出場停止。そこが心配されたが、ボロウスキーが代わりに入った中盤は、その穴を感じさせない集中力の高さを見せた。また、ドイツの左サイド、フィリップ・ラームや前線のポドルスキーが動き回ってチャンスを窺う。

タフな戦いになることは必至だった。それゆえ、前半はハイレベルなこう着状態が続いた。一瞬でも気を許す場面があれば、瞬く間にカウンターを喰らうような状況。それほど、両チームとも攻守の切り替えが非常に速く、同時に緊迫した展開だった。

ゲームが動き始めたのは延長戦。イタリアの途中出場、ジラルディーノが右サイドをブチ抜き、ポスト直撃のシュートを放つとその1分後にはザンブロッタがミドルレンジから狙う。しかし、これもバー直撃。イタリアは絶好のチャンスを2本立て続けに逃す。

逆に、徐々に中盤が空いてくるとドイツのカウンターが効果を見せ始める。イタリアの集中力はさすがだったが、中盤が空いてしまっては、バラックらに考える時間も空間も、前半より増えることを意味する。そのため、バラックが自由に攻撃をコントロールする時間帯が、時間を追うごとに増えていく。

そして、それまで堅守を誇っていたイタリアが崩れた。カウンターからポドルスキーの決定的なシュートを放つ。しかし守備陣か崩されてもイタリアのGK、ブッフォンが立ちはだかる。

後半も30分をすぎたころから、完全な「1点勝負」の様相を呈してくる。終盤に差し掛かっているにもかかわらず、両チームとも惜しみなく走る。

延長戦に入ると、疲労が嫌でも見えてくる。さすがのラームもバテてくる。しかし、イタリアのエネルギーはまだ余力を残しているようだった。

延長後半に入ると、イタリアが押し込む。ドイツは限界だったクローゼを引っ張りすぎた。ノイビルがもう少し早い時間帯から入っていれば面白かっただろう。

そして、延長後半14分。デル・ピエーロの右CKから、混戦の中でピルロがボールをキープする。一瞬、後ろにいる選手にパスを出すのかと思いきや、思いがけず出来た「門」へスルーパス。そこで、なぜかフリーで待っていたのがグロッソ。得意の左足でゴール左隅を狙う。すると、綺麗な弧を描いてDFの脇を通り抜けた。

オーストラリア戦で「奇跡」を呼び起こしたグロッソが、またしても「奇跡」を生んだ。

これで攻めざるを得なくなったドイツだが、「1点を守らなければならない」時のイタリアほど、嫌な相手はいない。ただ、それでも攻めるドイツ。いや、攻めなければ全て失ってしまう。

ただ、全て失う覚悟で前に出てきたドイツにとって、その最悪の出来事がロスタイムで起こってしまう。ドイツの攻撃がストップされ、イタリアのカウンター。ジラルディーノが独走し、DF2人をひきつけたところで、絶妙のタイミングで走りこんできたデル・ピエーロへ。デル・ピエーロはダイレクトで、ゴール右上を狙った。

大会ベストゴールの1つに数えられるであろう素晴らしいシュートが決まった瞬間、事実上試合が終わった。そして本物のホイッスルが、2点目のゴールの直後に鳴った。

またしても死闘に終止符を打った劇的な結末。イタリアは、何か神がかり的な強さを持っている。もちろん、ホスト国のドイツに対して「0」で終えたことはイタリアの守備陣の強固さ、中盤の運動量、FWの集中力がハンパない、ということも付加えておかなければならない。

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2006年7月 4日 (火曜日)

堅守、完勝  フランス1-0ブラジル

ボールポゼッションではややブラジルが上回っていたが、フランスの中盤の底、ビエラとマケレレの経験豊富なプレーで攻撃の芽を摘むと、開始早々にあったブラジルのボールポゼッションがフランスに移行し始める。

中央に君臨するジダンは、ロベルト・カルロスやカフーに対して苦戦していた両サイドアタッカーのリベリーとマルダを使わず、一発で相手の守備ラインの裏、つまりアンリを狙うスルーパスを数多く狙ってくる。

この日のフランスの中央3人は素晴らしかった。守備的MFのビエラとマケレレはロナウジーニョを完全に押さえただけではなく、カカーも、そして彼らに入る前のパスをことごとく寸断していた。

攻撃的MFのジダンはブラジルのゼ・ロベルト、ジウベルト、ジュニーニョに常に見られている時間帯が多かったが、それでもマークを剥がすテクニックは見事だった。

ブラジルはガーナ戦と同じく「死んだフリ」をしておいて、チャンスと見るや牙を剥く作戦なのだろうか。それでも、フランスの守備は強固だった。

フランスの両サイドの攻め上がりを警戒し、守備の出来ないロナウジーニョ、カカー、アドリアーノ、ロナウドの同時期用をやめ、アドリアーノを下げ、守備負担を少なくするべくロナウジーニョを前線に。そして中盤の底を3枚にしてきたブラジルだったが、前半は失点こそ0に抑えたものの、ペースではフランスにあった。ブラジルは、いつ機を見て攻めあがるんだろう、と観ていたが、そのような場面は前半においては皆無だった。

前半は、フランスの中盤に軍配が上がった。

後半に入ってもフランスの攻勢が続く。開始40秒、アンリがネットを揺らすがオフサイド。さらに左サイドからのFKをビエラが飛び込んできた。フランスは、中盤の守備をマケレレに多少だが任せて、ビエラがオーバーラップする場面が目立ってくる。相変わらずジダンは中央で存在感抜群だ。フランスがいつ得点してもおかしくない流れだった。

そんな中、60分に得た右サイドからのFK。ジダンが蹴ったボールはビエラを超え、アビラルを超え、彼が狙った先がいよいよテュラムでもないとブラジル守備陣が悟ったとき、もうアンリが走りこんでいた。フリーだった。

フランスが先制し、ブラジルも同点に追いつきたいがなかなか守備的MF2枚の壁を越えられない。逆に、焦って攻めあぐねてフランスにカウンターを許すようになる。前半はロベルト・カルロスに完封されていたリベリーも、徐々にスペースを与えられて自由に動き回る時間帯が増える。さらに逆サイド、マルダもカフーが上がったスペースを使い、示談からのパスを受けて単独突破すると、相手のあわやオウンゴールか、という場面も作った。70分過ぎまでは、フランスペースが続いた。

しかし、温存していたアドリアーノ、スーパーサブのシシーニョ、ロビーニョを投入すると、自力でブラジルペースに引き込んだ。ロナウジーニョ、ロビーニョがガムシャラにドリブル突破を仕掛け、アドリアーノ、ロナウドが常にゴール前に張る。

ところが、フランス守備陣も崩れる様子を見せない。全員が守備に回りながらも、ブラジルの猛攻を凌ぐ。ピンチといえばロナウジーニョのFKと、シシーニョのクロスからゼ・ロベルトが合わせたシーンくらいか。

8年前の決勝の再現となった準々決勝だったが今回も結局、最後までブラジルに決定的チャンスを作らせなかったフランスの守備陣。攻守とも、まさにフランスの「完勝」という形になった。

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イングランド、自滅  ポルトガル0(3PK1)0イングランド

この日のイングランドはセントラルMFに3枚を置く作戦に出てきた。ポルトガルのキーマン、デコが出場停止にもかかわらず、いつになく消極的な采配である。

まずは失点しないことを念頭に置きハーグリーブスを起用してきたが、結果的に彼の働きは素晴らしいものがあった。攻守に積極的に動き回り、特に守備の場面では最も危険な場所に顔を出し、相手の攻撃の芽を摘んでいた。イングランドが勝利していたら、この日のMVPは間違いなく、彼だった。

ところが、必要以上に守備の意識を高めた結果、中盤と前線を自ら分断してしまいルーニーが孤立。フェルナンド・メイラとリカルド・カルバーリョといった屈強なセンターバックコンビに封殺されていく。

さらに、ハーグリーブスが中盤の底で構えていることで、ジェラードとランパードの攻撃意識を前に持ってこようとするが、いま一つ決定的な仕事が出来ない。もちろんポルトガルの、ペチやティアゴ、マニシェといったセントラルMFの活躍が大きかったのもあるが、ジェラードとランパードがシュートまでもっていく場面は、少なかった。

全体として、守備は非常に安定しているものの、得点の匂いをお互いに感じないまま前半が終了。後半が始まっても、依然として攻撃で良い形が作れない。ポルトガルはミゲル、イングランドはハーグリーブスが相変わらず豊富な運動量で貢献しているが、両チームとも守備の意識が非常に高い。高すぎるほどだった。

それゆえ、なかなか前線にボールが収まらない両チームのFW。

先に痺れを切らしたのがイングランドの若いルーニーだった。リカルド・カルバーリョを踏みつけた。審判の目の前だった。一発レッドで11人対10人の戦いに。これで攻めざるを得なくなったポルトガル。それに対して、途中出場のクラウチがよく頑張ってカウンターを狙うイングランド。

守備的な戦術を敷いていたイングランドが、皮肉にも退場してからその効果が最も発揮されたといっても過言ではない展開になった。

攻撃はといえば、前線のクラウチが起点にサイド攻撃を仕掛け、ポルトガル守備陣を慌てさせるくらい。しかし、カウンターのリスクマネージメントはシッカリとしているポルトガル。

イングランドは延長戦に入ってからというもの、途中出場のアーノン・レノンを下げて完全に守備的な布陣に。PK狙いに切り替えてくる。

そして、イングランドの思惑通りPK戦になったが…。

結局最後まで調子を上げ切れなかったジェラードとランパードという主力2人が外した。

イングランドは、皮肉な形で、しかも自滅で大会を去ることになった。

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2006年7月 1日 (土曜日)

オセロのようなゲーム  ドイツ1(PK4-2)1アルゼンチン

何もなかった前半戦とうって変わって、後半戦は局面局面で激しいやりあいが演じられて死闘となった。そもそも、前半は両チームとも攻撃にかける人数を少なくして、カウンターに備えたリスクマネージメントに力を注いでいた印象がある。それもそのはず、今大会の両チームは先取点を奪ってリズムを掴んで、自分たちのサッカーに持っていった。そういう意味で、先取点の重要性を、今までのどのゲームよりも重んじて入ったゲームとなった。

そしてその膠着した流れが一変したのが後半立ち上がり。アルゼンチンが激しく押し上げて猛攻を仕掛ける。前半は死んだフリをしておいて、後半立ち上がりにガツンとやって相手を押し下げる。南米のチームにありがちなパターンだ。その作戦が実ったのは6分。リケルメの右からのCKを、アジャラが身長170cm台とは思えないような跳躍力で、決してヘディングが弱いとはいえない、むしろ空中戦に絶対の自信を持つクローゼの上からヘディングシュートを見舞った。そのシュートはラームとレーマンの間をすり抜け、ネットに収まった。

先取点を取ってからというもの、アルゼンチンはまだ攻めにかかる。ホームで、しかも絶対に奪われたくない先取点を取られたということから、ドイツのはやる気持ちを逆撫でするようなアルゼンチンの猛攻。後半は左のソリン、右のマキシ・ロドリゲスが積極的に攻撃に絡んでることからわかるように、両サイドで優位な立場にあった。

そんな状況を打開すべく、ドイツのクリンスマン監督は右サイドのシュナイダーに代え、オドンコル。劣勢だった中盤に活力を与えるべく、ボロフスキーを投入して勝負に出てきた。

対するペケルマン監督は、意外にもリケルメを下げてしまう。GKが負傷退場というアクシデントに見舞われたアルゼンチンだが、ここで攻撃のキーマンを下げて守備に徹しようという作戦だろうか。

攻勢に入るドイツと、攻撃のカードを一枚削ってまでも守備を固めようとするアルゼンチンだが、攻撃のドイツがアルゼンチンの守備を上回った。

後半80分、バラックが左サイドからクロスをあげるとボロフスキーだろうか、ヘッドで後ろに流すと見事なタイミングでクローゼが飛び込んできた。エインセはそのクローゼを捕まえきれずダイビングヘッドを許した。

これで同点。まだ同点なのだが、流れは完璧にドイツに傾きつつある。アルゼンチンにとっては、やはり選手交代が1つの文となった。リケルメを下げたことによって、いや、リケルメを下げてもアイマールなりメッシーなりを投入していたら、まだ攻めようがあるがいかんせん攻撃でアクセントになる選手がいないのが問題だった。

このまま1-1のままいっても、PKではアボンダンシエリが負傷退場したアルゼンチンに対してレーマンの君臨するドイツ。力関係は明らか。アルゼンチンは、交代の3枚目、クルスも期待はずれの動きでまったくポストプレーができず、機能していない状態。もはやアルゼンチンにとっては守りきるしかなかった。

そしてPK。アルゼンチンが2本のキックを外し、2-4で敗れた。

アルゼンチンにとっては、交代が大きな痛手となった。1-0で守りきるはずが、同点に追いつかれ、それがそのまま苦しい展開を呼び起こしてしまった。「ベルリンの死闘」は「勢い」という視点から、まるでオセロのような展開になった。

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試合巧者  ブラジル3-0ガーナ

いつも通り、豊富な運動量で次から次へと、湧き出るような攻撃を繰り出すガーナ。対するブラジルはいつも以上にラインを低めに敷いて対応する。恐らく、ガーナの速攻を許さないための作戦の1つだろう。しかし、これは1つの賭けでもあった。ラインを低く設定するということは、必然的にガーナ攻撃陣を自陣ゴール近くに招き入れてしまうことになるからだ。

ブラジルの賭けは、成功した。まず、カウンターを許さなかったという点。そして、「走る」ガーナに走られるスペースを与えなかったのだ。結局、カウンターも含めて「走る」ガーナを走らせなかったのだ。

ブラジルの攻撃はといえば、いたってシンプルだ。中盤でボールをこねくり回しては、相手の素早いプレッシングに絡め取られてしまう。そうした状況を打破するために、ブラジルは真っ向勝負を挑んだのではなく、以上に高く敷いたガーナ守備ラインの裏を突こうとする。

その効果が表れたのは以外にも早かった。前半5分、カカーが単独で中盤の空いたスペースをドリブル突破すると、絶妙のタイミングでオンサイドから飛び出したロナウドへスルーパス。このパスが通り、オフサイドフラッグが上がらなかった時点で勝負あり。ブラジルが虎の子の1点を奪う。

その後はガーナの猛攻が始まるが、最後のシュートの場面では好きにはさせてくれなかった。ゴール前までは行くものの、そして運動量では完全にブラジルを凌駕していたものの、最後の最後でもどかしい場面が続く。

すると、機を見たブラジルが前半ロスタイムに牙をむく。再びカウンターからカカー。右サイドをタイミングよくオーバーラップしてきたカフーへ。カフーも一呼吸置いてからアドリアーノへ。アドリアーノは押し込むだけでよかった。これで2-0。しかも、前半終了間際での得点。良いムードで後半へ。

後半に入っても、ブラジルは無理をしない。ガーナが一方的に押し込んでいるようにも見えるが、なかなかペナルティエリア内に入れさせてくれない。万が一、「門」を突かれてスルーパスを出されてもそこはジーダが素早い反応でピンチを未然に防ぐ。

こうなればブラジルお得意のパターンだ。後半25分過ぎから、明らかにガーナの運動量が落ちてきた。攻撃では無理をせず、淡々とパスをつなぐ。時間がゆっくりと流れていく。そんな中、後半36分には落ち着いたペースを切り裂くようなフリーランニングを敢行するゼ・ロベルト。そこへ、浅いラインを突く絶妙なスルーパスが通った。GKもかわしたゼ・ロベルトは、1点目2点目と同じく、ゴールへパスするだけだった。

これで意気消沈したガーナ。さらにはこの失点の直前にギャンが退場して10人になったこともあり、もはや残された時間で3点を取り返す気力も体力も残っていなかった。

結局3-0でブラジルが勝利。ガーナの挑戦をアッサリと退けた。とはいっても、ガーナの勇気ある攻撃には驚いた。最後の最後でフィニッシュが上手くいかず、「決定力」の差をまざまざと見せ付けられたが、初出場にしては、非常に完成度の高いチームだった。

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2006年6月28日 (水曜日)

凄い試合  フランス3-1スペイン

立ち上がりから中盤で激しくボールを奪い合う。ゴール前の攻防はあまりなかったがそのぶん、ビエラとマケレレで組むフランスの中盤と、セスク、チャビ、アロンソとテクニシャン揃いのスペインの中盤がガチンコでぶつかり合った。

フランスの攻撃はジダン経由アンリ行。到ってシンプルだが、シンプルであるがゆえ、アンリの超越的な個人技が生きる。しかし、今年のCL決勝と同じくプジョルがアンリにマンマーク気味でつき、仕事をさせない。アンリがそこでボールをキープできるとサイドのマルダ、リベリーが自由に攻撃参加できるが、前半は完璧に抑えられた。実際、それまでの試合では果敢に勝負を仕掛けていたリベリーが全く機能していなかった。

対するスペインは中盤の底3枚がボールを動かせるタイプなので、フランスの激しいチャージをかわしつつ、サイドに流れたラウール、ビジャ、フェルナンド・トーレスにあわせる。フランスの守備も堅い。万が一中盤を突破されたとしても、テュラムが素晴らしい働きをしてこちらも仕事をさせない。

内容自体は均衡していたが、いつ崩れてもおかしくない緊迫した空気が流れる。前半20分過ぎ、フランスがこの日初めてのチャンスを得ると、試合は一気にスピードアップ。その直後にはペルニアの惜しいフリーキック。そんな中で得たスペインのコーナーキック。左からのチャビのキックが跳ね返され、戻ってきたところをパブロがボールをキープ。すると、たまらず後ろからチャージしたテュラムのタックルに対してPKの宣告。

落ち着いてビジャが決めた。均衡が破れてからは、スペインがさらに中盤を厚くしてフランス得意のパス回しを封じ込める。1点のリードだけでは安泰ではないスペイン。ボールを奪ってから素早く速攻をしかけようとするが、フランスの守備も非常に集中していた。両チームとも好守の切り替えが非常に速い展開に。スペインは、前半はリードで折り返せばOKだった。

しかし、前半もロスタイム。再三裏を狙ってくるフランスの攻撃に対して、ついに牙城が崩れた。リベリーが中盤を突破すると、オーバーラップしてきたビエラへ。ビエラはバイタルエリアで囲まれるが、ツータッチで素早くリターンのパスを要求したリベリーへ。オフサイドを掻い潜ったリベリーは、あとはゴールに流し込むだけだった。

前半を終わって1-1。ルイス・アラゴネス監督は後半立ち上がり、いきなり勝負に出た。前半完璧に押さえられていたビジャと、中盤で起点を作っていたがゴールまでの距離がやや遠かったラウールに代え、ルイス・ガルシアとホアキンを投入してきた。ホアキンはいつも通り右サイドに張り付く。ルイス・ガルシアは右に左に、縦横無尽に動き、高い位置で攻撃の起点を作った。

これで流れを変えたかったスペインだが、フランス守備陣も粘る。ホアキンに対してはフランス右サイドバックのアビダルがまるで張り付くようにマーク。まったく仕事をさせない。この少々大げさとも思える作戦が的中する。交代出場した選手中心に攻撃を仕掛けるスペインに対して、間合いを十分に取らせず、逆にカウンターを狙ってきた。

前半から再三オフサイドにかかりながらも、アンリが常に危険なゾーンを狙っている。そして徐々にフランスがスペインゴールに近づいてくる。スペインも、フランスの決定機をマルダのシュートのみに押さえる。

しかし、延長戦かと思われた後半39分。フリーキックから、中での混戦から後ろにルーズボールがきたところを、待っていたビエラがヘッドで押し込んだ。スペインは後半の終盤に逆転を許す。

スペインも最後の可能性を信じて猛攻を仕掛けるが、逆にカウンターを喰らってしまう。センターバックのパブロも上がっていた時、スペインの最終ラインはプジョル1人だった。ロスタイム、そんな時にカウンターを喰らう。オフサイドを取り損ねると、ジダンに独走ドリブルを許し、プジョルを冷静にかわすとダメ押しの追加点を奪った。これで勝負あり。2006年W杯の名勝負の1つになるであろうスペインとフランスの好ゲームは3-1でフランスが逆転勝ちをおさめた。

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2006年6月27日 (火曜日)

近年稀に見る大変な試合 ポルトガル1-0オランダ

後半の最終盤については、もはや何も言うことはあるまい…。

前半はポルトガルが堅守から中盤で確実にパスをつないで両サイドを使ってくる、いつも通りのサッカーを展開。オランダの強力アタッカー陣、特に左サイドのロッベンに対しては、ミゲルがよく押さえている。そのぶん、ミゲルがオーバーラップする回数というのは、以前の試合に比べて激減したのは事実だが。それでも、マニシェやコスティーニャが、オランダのスナイデルを自由にプレーさせず、さらには左のロッベンも押さえ込んだとなれば、必然的に流れはポルトガルへ。

前半25分、またもやサイドで起点を作る。クリスティアーノ・ロナウドから中へ。パウレタが巧みに落としたところをマニシェが走りこんでいた。目の前に投げ出されたオランダDF陣の足を俊敏に交わし、素早い振りからのファインゴール。ポルトガルが先制。

ポルトガルが先制するとあまり無理をせず、という展開に。ポルトガルは、このまま堅守で前半を乗り切り、1-0のまま後半に入ればパーフェクトだ。しかし、前半ロスタイム、守備で奮闘していたコスティーニャが2枚目のイエローカードで退場。後半に入りペティを投入するが、前半で怪我のクリスティアーノ・ロナウドをシモンに交代していただけに、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督にとっては予想外の交代カードを2枚使うことになった。

後半に入ると、オランダの猛攻が始まる。左サイドのロッベンが駄目なら、前半からキレていたロビン・ファンペルシーが幾度となく右サイドを切り裂く。後半立ち上がりにはコクーがバー直撃となるボレーを放った。さらにはスナイデルやファンボメルも積極的に強烈なミドルシュートを見舞う。

シュートの数ではオランダが圧倒する。しかし、10人のポルトガルも耐える。後半も30分がすぎたあたりだろうか。試合が荒れ始める。まずはオランダ右サイドバックのブラウセンが2枚目のイエローで退場。続いて、終了間際にはポルトガルデコ。そしてロスタイムにはオランダのジオ。何と両チームあわせて4人も退場者が出るという、大きな国際試合では近年稀に見る荒れた試合となった。

結果、1-0でポルトガルが勝利した。ポルトガルにとっては非常に大きな勝利だ。だが、次はデコとコスティーニャという中核の選手が出場停止となる。しかも、天敵イングランドとの対戦だ。守備面ではペティやティアゴといった能力のある選手がいるから、特別な痛手はないだろう。だが特に攻撃のスタイルは変えていかなければならない。ウーゴ・ヴィアナが入るのか。それともシモンを入れてくるのか。

どちらにせよ苦しい戦いとなるポルトガルだが、オランダとの「死闘」は後味の悪いものになってしまった。

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