ジェフ千葉-FC東京戦で日本の課題が見えてきた
5連勝でエントリーした記事にコメントをいただきました。
↑の記事の要約はこう
「池田の投入は間違いなかったと予想されるが、にもかかわらず2失点したのはなぜか」
ということです。
いただいたコメントでその回答がありました。
「池田の投入は確かに妥当だが、FW新居と交代させたことにより、前線でキープできる選手が2人から1人に。
それにより巻が孤立。
加えて、相手のパワープレーによって中盤の選手が比較的押し込まれる形になって前線と中盤が間延びし、
DFがいくら跳ね返しても相手に雪崩れ込まれる展開になっていた」
アマル・オシム監督のコメントを見てみると、池田の投入はリチェーリが投入されることを見込んですでに準備させていたそうなので、その対策としての交代だということは明白です。
ただ、なぜ新居と交代させたのか、そして、なぜ山岸を残したのか、というところは闇のままです。
パワープレーには不向きな工藤をそのまま交代させるか、工藤をサイドに持ってきて山岸→池田という選択肢もあったはずですが…。
真相はこの先明らかになることはないでしょうが。
それにしても、3点差にしてから2点追い上げられた際の内容です。
前線でキープできず、FWが孤立。相手のパワープレーにあっぷあっぷで中盤の選手も守備ラインに飲み込まれ、何度も跳ね返してもまた雪崩れ込まれる
この展開、日本人でサッカーが好きな人なら、絶対にどこかで見たことがある光景のはずです。
ドイツW杯、日本-オーストラリア戦と、展開がソックリではないでしょうか。
この試合、試合開始から1時間までは日本が完全に支配していました。ところが、後半20分をすぎると前線の高原、柳沢の運動量が目に見えて衰えるようになってきました。それによってオーストラリア守備陣へのプレッシャーが皆無の状態。
さらにオーストラリアは前線に大きい選手を揃え、ドンドン放り込むパワープレーを始めます。日本FW陣からのプレスが無いに等しい状態だったので、相手守備ラインから好き放題に攻め込まれる展開。それによって日本の中村俊輔、中田英寿などは守備ラインの近くでプレーすることが多くなり、それによって前線と中盤が間延びし、あとはサンドバック状態です。
そして結果はご存知の通り。
あれに関しては「巻が必要だった」「稲本を投入すべきだった」とか、色々言われていることですが、とにかくパワープレーへの対策が必要でした。それにもかからわず、最後まで先発メンバーでのサッカーを貫こうとした弊害がラスト6分に起こってしまったと言われています。
その点アマル・オシム監督は、池田投入によるパワープレーへの対策は講じている。ただ、対策を講じたことによって失うものとの天秤にかける作業で計算が狂ったのではないでしょうか。
ただ、対策は講じても、攻撃に目線を移すと、状況は当時の日本とまったく同じです。
巻が孤立し、攻撃がまったく組み立てられない状況、守備ラインが下がってしまう、中盤が飲み込まれてしまう。
では、こういうときにどんなことが必要なんでしょうか。
とある雑誌で、日本がラスト6分であのような結果になってしまったのは「経験が足りなかった」と書いてある記事を見ました。
経験が足りない。
本当に日本は「経験が足りな」いのでしょうか。
初出場の8年前に比べて、欧州でプレーする選手の数はどうなったか。
アジア杯ではどのような結果を残したのか。
オーストラリアはいったい何年ぶりにW杯に出場するのでしょうか。
そして何より、日本はここ数年で戦うW杯は何試合目なのか。
それを考えてみると、日本に「経験が足りないか」と問われたら「いや、そんなことはない」となるのではないでしょうか。
だから、日本が6分間に失点し、敗退した理由を「経験が足りない」の一言で片付けられてしまうのは、しかもあろうことかプロのライターがそのようなことを書くことは、許されないことだと思います。
同じことはジェフにも言えます。
2003年、優勝まであと一歩のところまで行きました。
2004年には、それを踏まえて具体的に優勝を目指した。
2005年、三度目の挑戦は勝点1に泣きました。
優勝争いをすることは修羅場を潜り抜けられるかどうかの戦いです。その点、ジェフは3度も優勝争いの経験をしています。これだけの経験をしているのなら、土曜日のような試合展開は必ずどこかであったはずです。そしてそれを乗り越え、学習してきたはずです。
これまで、3点差があったにもかかわらず1点差に持ち込まれたことをネガティブに捕らえていましたが、逆に考えれば、「1点差で逃げ切れた」のは今までの経験があったから、とも捉えることができるはずです。
ただ、3-0のまま試合を終えられず、1点差に追い上げられた理由が、「経験が足りない」ということにはならないはずです。
では、後者の理由は何なのか。
結果だけではなく、このような試合展開は日本代表などでも目撃した試合があります。
パワープレーに持ち込まれたあと、どのように持ち直すのか。
W杯ベスト16(たぶん)のブラジル-ガーナ(3-0)、そして今シーズンのリーガ・エスパニョーラ、エル・マドリガルでのビジャレアル-レアル・マドリー(5-0)の試合を見てると、その対策のヒントが隠されているなと思いました。
勝者は共に圧勝。
ただ、試合内容も圧倒していたのかというと、そうではない。
むしろ、敗者のチームのほうがガンガン攻めて、押し込んでいた展開です。
にもかかわらず、勝者がこのようなスコアにできた理由はなんなのでしょうか。
それがカウンターアタックです。カウンターは前線に足の速い選手をそろえれば良いというわけではありません。
必要なのは攻守の切り替えです。
ブラジルもマドリーも攻め込まれていましたが、相手が雪崩れ込んできた隙を突いて、ドンドン鋭いカウンターを成功させていたのです。
Jリーグを見ていると、まだまだ攻守の切り替えが遅い。
Jリーグは日本代表と直結しています。中村俊輔も稲本も口をすっぱくして「攻守の切り替え」の部分を強調していることでわかるように、欧州リーグとJリーグとでは、まだまだその切り替えの部分において大きな差があります。そして状況によっては遅攻も選択肢として執れる。
もちろん、「パワープレーに持ち込まれたあと、どのように持ち直すのか」という課題や「速攻と遅攻を状況に応じて使い分ける」ことが簡単にできるのなら、監督はさぞかし楽でしょうが…。
ただ、当面の日本の課題はハッキリしています。
ラインがズルズル下がったとき、逆に相手の裏を付くための「攻守の切り替え」。これがW杯と、そしてジェフ千葉-FC東京戦で見えてきた課題ではないでしょか。
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コメント
いつも楽しく読ませていただいております。
新居の交代は、ケガのせいですね。
27日の練習試合で左眼の上を切り、8針縫った状態で30日の試合に臨んでおりましたので、単にムリをさせられなかったということだと思われます。
あの交代で確かに前線から中盤のバランスが崩れ、厳しい戦いになってしまったのは事実ですが、サッカーは相手のあることです。経験から学ぶことは多くあり、それが生かされる場も常にあるといえますが、それはジェフだけではなくFC東京にもいえることです。ジェフがそうであったように、FC東京もたくさんの経験を積み、タイトルを獲得するまでに至ったチームです。
単純にパワープレーに走られたときにはどうしてもジェフは不利になるということは否めないと思います。
それでも、負けなかった。最後まで耐え切れたということはひとえに監督の采配と選手たちのがんばりのおかげだと思います。
こういうチームを応援できることをとてもうれしく思います。
FC東京との試合で学んだ苦しい状況を耐え抜いたという経験が今後のゲームに生かされることを祈っています。
投稿 まわる@ | 2007年10月 3日 (水曜日) 21時09分
まわる@さん、コメントありがとうございます。
新居の交代はケガですか。
以前に目を縫ったって言う情報を聞いていたんですが、その影響がまだあったんですね。それでもいい動きはしていたみたいですね。
確かに、おっしゃるとおりですね。
FC東京は原監督になってから前からグイグイいく力は持っているチーム。
そういうチームに対してはジェフは滅法弱いですからね。柏然り神戸然り新潟然り。
やはりそのような方法で攻め込まれても、前半の3得点があったことを差し引いても勝利という結果を残せたことは確実に選手の「経験」がモノを言ったんでしょうね。
投稿 ダックス男 | 2007年10月13日 (土曜日) 15時30分